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USAばね指事情 ばね指こぼれ話


アメリカは医療全般におい先進国と考えられていますが、ばね指手術に関してはかなり保守的で経皮的ばね指手術はほとんど行われていません。
過日、アメリカで超音波機器の開発に携わっているエンジニアがばね指手術のため当院を受診され、その際にアメリカにおけるばね指事情について聞く機会を得ました。以下はその伝聞です。日本の皆保険制度とかけ離れており、別世界を垣間見た思いです。


◇アメリカにおけるばね指手術の特徴

件のエンジニアの話を要約すると、アメリカのばね指手術の特徴は以下の3つです。

 1. ばね指手術費用は非常に高額であること
 2. 手術は全身麻酔で、皮膚を大きく切開して行われること
 3. 一部のアメリカ人は国内での手術を嫌い、外国(フィリピンなど)に出かけて手術を受けること

彼も国内で手術を受けずに「国外」に出かけて手術を受けたことになります。彼は仕事でアジア某国への出張を利用して当院を受診されて、日本経由で帰国されました。

実際に手術が始まる前から、当院の「2mm切開ばね指手術」を高く評価してくれました。

カリフォルニアに活動拠点がある陽気な人柄の方で、私もリラックスして手術を行うことができました。

また日本語以外に英語も母国語の印象があり、先ず英語で考えてから日本語に翻訳して話すようなニュアンスでした。あらかじめ私のウェッブ・サイトの英語版を丹念に見て下さったようです。


このときの撮影ビデオを編集して2編載せてあります。
 音声/USAばね指 アメリカのばね指事情が良く伝わります。
   15分間のビデオ音声を4分余に編集したものです。
   アメリカの医療事情にも詳しい方で、手術中にもアメリカのばね指事情を語ってくれました。
 映像/USAばね指 
   実際の手術映像(#1057)です。
   予め私のウェッブ・サイトで手術を熟知された上で来院されました。
   手術中に、自分の血圧が「500まで上がった...」などと冗談で和ませてくれました。
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◇アメリカのばね指手術費用

患者さんがばね指の治療を希望する場合、まず形成外科開業医(執刀医)で診察を受けます。
そのあと執刀医が契約する病院手術室で手術となりますが、ほとんどの場合が全身麻酔です。
手術の主な費用について
○ 手術費用
  1500ドル(≒15万円)  形成外科医に支払う費用です。
○ 全身麻酔の費用
  1500ドル(≒15万円)  麻酔医に支払う費用です。
○ 病院手術室の使用料
  1000ドル(≒10万円)  病院側に支払う費用です。
つまりUSAのばね指手術は40万円以上の出費を覚悟する必要があるようです。
インターネット上では手術費用を公開しているアメリカのサイトを見つけることはできません。
「手術費用については手術担当医にご相談下さい」の記載しかありません。


◇ばね指の手術費用(参考) -シンガポールの私立病院の場合-
シンガポールGleneagles病院のホームページにばね指手術費用の記載あります。

1. この病院の治療費はUSAと同じで非常に高額です。

2. 治療費は執刀医によりばらつきがあり、半数の執刀医で平均3、900ドルです。

3. また全体の4分の1を占める高額執刀医の治療費は平均5、313ドルです。
   その内訳は執刀医への支払い4、013ドル(約35万円*)、手術室使用料が1、300ドルです。しばし絶句...。

参考までに日本の保険治療で、ばね指手術の費用(技術料)は2万500円です。
                                              * 1ドル87円換算

◇ばね指手術:日米の比較

アメリカのばね指手術は日本よりも進んでいるのでしょうか?
以前から興味がありましたので両者を比較してみました。
1.皮膚切開の大きさ日本とほぼ同じで、2~2.5cmの皮膚切開による手術が主流です。
2.小さな皮膚切開による手術は実質的に行われません。これも日本の現状と同じです。
3.麻酔方法ほぼ全例で全身麻酔ですが、日本では局所麻酔剤です。
  また日本でも小児のばね指手術だけは全身麻酔です。
4.内視鏡手術はアメリカではほとんど行われず、これも日本の現状と同じです。
  パイオニア的にユーチューブに映像を投稿している医師もいます。

◇なぜUSAでは「全身麻酔」が主流なの?

全身麻酔の手術中に不測の事態に遭遇しても麻酔科医が対処するため、執刀医はばね指手術だけに専念することができます。
麻酔科医と執刀医の職種がしっかり分業されていてうらやましい限りです。

USAでは医療事故に対する補償が莫大なため、執刀医はせめて麻酔に伴うリスクだけは避けたいと考えるのは当然です。

日本の開業医の手術の場合、一般的に執刀医自身で局所麻酔を行います。
もし不測の事態(急激な血圧低下)に遭遇しても自分で対応しなくてはならず、手術が無事に終了するまで非常に神経を使うことになります。

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